哲学・法学的に「そもそも」を考えるブログ。since 2011・3・22。

2022年7月20日、ライブドアブログより、移行してきました。

今、一番に国が取り組むべきことは―少子高齢化・人口減少問題―

今、日本が取り組まなければいけない問題は山積していると言われます。しかし、その多くが、過去の焼き直し的な課題であり、喫緊の課題とはいうものの、恒常的な課題となっています。ただ、その中で、特に重要な問題があると思っています。それが、人口減少・少子高齢化の問題です。ほぼすべての問題は、ここに凝縮されていると言っても過言ではありません。経済の問題でもあり、福祉政策の問題でもあり、財政の問題でもある最大の問題点がこの少子高齢化です。
 
つまり、働く世代の若い人が少なくなっている、又、人口が減少している、ということです。これは、非常に大きな危機感をもって、今、取り組まなければいけない日本の一番の課題ではないでしょうか。想像の世界で「日本の人口は、このままのペースで進めば、西暦XXXX年には、数人になる」という話がありますが、これは、相当現実的な話だと思います。今、日本の人口は、緩やかという人、急激という人がいますが、確実に下がっています。国立社会保障・人口問題研究所のデータでは、生産年齢人口(15~64)は、2000年頃をピークにして、下がっています。つまり、この問題は、過去の問題ではなく、今の問題、これからの問題なのです。
 
現在の報道等を見ていると、政府は、アベノミクスだとか、防衛だとかに重点を置いているようです。しかし、そういう経済の問題も、防衛の問題も、人口減少・少子高齢化が進んでいる状況では、好転が見込まれるはずがなく、その場しのぎでしかないのであって、薬で言えば、治療薬を使っているのではなく、症状を出なくする薬を使っていることでしかないのです。よって、根本の解決には、全くならず、問題は進行していきます。本当は、経済の問題も、防衛の問題も、財政の問題も、人口減少から増加に転ずれば、解決が容易になる問題です。経済のパイが多くなれば、それだけ、経済が活性化され、より大きな事業、より綿密な事業もでき、経済の選択肢も大きく増えます。防衛も、人口が増えれば、それだけ大きな用意が可能ですし、経済立国として成長するため、そうでないところよりも、他国からのリスクが減り、余裕が出てきます。財政も、人口が増えれば、減るよりも、当然、効率よく税収が増えるので、豊かになっていきます。
 
こういう状況にもかかわらず、現在の日本は、少子高齢化・人口減少を歩んでいます。そして、これに対する対処が非常に不十分です。では、これまでどのような対策を公機関はとってきているのでしょうか。
 
主な対策として聞こえてくるのは、出産・子育て支援、移民等の活用の2つです。しかし、私は、どちらも不十分かつ非常に困難を伴うものだと考えます。
 
第一に出産・子育て支援です。現在、行われている支援のほとんどが一時的支援であり「そんなもので解決されると本当に信じているのか」「何かやらなければいけないと思って何かやっているだけ」のように、すごく空しいものばかりであり、効果も薄いものです。にもかかわらず、その小さい効果(例えば、出生率が0.1上がったとか)にとらわれていると私は思っています。本当は、2以上にならなければ、何の意味もありません。そして、対策を行っているのが、主に地方自治体で、そのほとんどが、その地方主体で考えていますので、A市よりは人口を増やすとか、B市はこのくらいだから、うちの市は、それに負けないようにとか、住民票の移動とか。この少子高齢化・人口減少問題は、国全体で動かなければいけないのに、近隣の県や市町村とどんぐりの背比べをして対策をしているようでは、全く危機感が薄いと言えるでしょう。
 
第二に移民等の活用です。これは、単に外国から人を受け入れるだけなので、決まれば簡単なことではありますが、それによるリスクも伴います。つまり、国家の形態が大きく変わるということです。方向性、現在の国のシステム、これが不確実となり、新たな方向へ進んでいく、ということになります。よって、削られるものも出てくるでしょうし、新たに導入されてくるものも出てくるでしょう。そういう過程を経て、これまでの日本と異なるような社会・システムが出来上がってしまいます。これまで、日本は、治安の良さ、良好な自然等環境がある、厚い福祉政策、温厚で親切な民度、自然等への畏敬の念、高い研究・教育水準、自然と都市の独自の融合・棲み分け等々、日本独自の文明・文化を形成してきました。しかし、他国の教育・文明・文化。歴史を受けてきた方を移民として受け入れることは、それらをある程度は犠牲にする必要に迫られるということ、又、不確実に先の社会・システムの方向性が整わず、異質な文化が出来上がるということ、それが今よりも、正しいのか正しくないのか、今よりも、好ましいのか、好ましくないのか、誰にも分からないということです。よって、非常に簡単で即効性のある案なので、これを唱える政治家も多いですが、私は、そんな思考力の低い安易な案を採用している政治家は、信用できません。きちんと論理があって主張しているならば別ですが、単に解決が早いとか、もうこれしかない、とかそういうきちんと思考していない状態で案を持っているなら、それは、非常に危険であると思っています。国家の方向性として、日本がアメリカのように、人種のるつぼ、人種のサラダボウルとして、進むことは、私含め、大多数の日本人にとって、非常に難しいものだと思っています。
 
では、どのような対策が考えられるか、です。
第一に、セーフティネットの充実・整備です。これは、単なる金銭的援助だけではなく、各種の相談も充実させた整備が必要です。お金だけ出せばいい、というのでは、意味がありません。セーフティネットというのは、病気、障害、高齢、災害、求人難等でリタイアしてしまった人を支える仕組みです。きちんと生活できるネットが必要です。現在の保険・年金・ハローワークでは、不十分かつ効率が悪いです。必要な人のところへいく仕組みがなく、必要でない人のところへもいく仕組みがあります。よって、これを一つずつではなく、まとめて大きく変える必要があります。生活保護、年金、保険等全てをまとめてセーフティネットとして一元化し、変える必要があると考えます。そして、現在の現金支給から、現物支給も一部考える必要があるでしょう。今の年金保険料、健康等保険料等ではなく、セーフティネット代として、一元化し、リタイアした場合に支給されるべきだと思います。そうすることで、分かりやすくなりますし、効率化にもなると思います。又、これにより、必要でない人のところへは行かず、必要な人のところへ回すことができます。さらに、固定資産の有効活用や、相続税の改革等も重要になってくるかと思います。
 
第二に、成人式等の機会に、近隣市町村と合同で、お見合いのようなものを開催してはどうでしょうか。そこに、互いの恩師等も交えると、もっといいと思います。そういったところから交流が生まれるものです。そして、20歳というまだほとんどの人が正式に働いていない若い時期なので、そういうものが、25~35歳くらいの時期に、もう一度くらいあるといいと思います。公機関の主導で、独身者に案内状等を送り、開催するのはどうでしょうか。
 
字数がだいぶ多くなってきたため、ここで止めておきますが、この問題は、喫緊の課題であり、かつ、非常に大問題であると思います。