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2022年7月20日、ライブドアブログより、移行してきました。

安倍元首相銃撃暗殺事件の件【中編】ー当時の警備の問題点と山上容疑者の動機の問題点―

まず、警備の問題である。

 0点か100点かと言われる警護・警備において、警護対象者を死なせてしまったことは、大失態であり、0点である。これは、警備の絶対的な使命・宿命である。何事もないことが100点で、何かあったら0点。
 もっと言えば、今回のように、警護対象者を死なせてしまったのなら、それはマイナスと言えなくもない。警護・警備にとって、最悪の事態をむかえたと言え、国内・国外からの批判と、警察、警護・警備に対する信頼が地に落ちたと言っても良いかも知れない。現に、そうした批判の声は、国内外で出ているようだ。

では、なぜそうした警備が行われたのか。
指摘されるのは、
①場所が悪い。
②後方確認が不十分(近づけさせたらダメ)。
③1発目から2発目までの反応が悪い。
④警護官の立ち位置が悪い。
である。

 ①について。周囲360度を警戒しないといけないような、開けた場所であるということ。例えば、後ろが壁であれば、後ろから狙われる可能性は低くなるが、開けた場所の場合、全面が狙われる場所になるということだ。つまり、壁や車が対象者を見え難くし、邪魔をしてくれるということ。今回は、それではなく、全面が開けた場所だった。この場合、連携が取れる数十名が必要と考えるが、今回はそれが出来ていなかったようだ。公式発表されていないが、人数面と特に連携面でどうだったか、検証が必要だろう。

 ②について。後ろを向いている警護官風の人が少ないということ。所謂、後方のガラ空きさ。そして、犯人が近づいたとき、その段階で、すぐ反応し、無線で連絡を取り、寄ってマークすること。これが出来ていなかった。後ろは聴衆も少なかったはずだ。その中でマークすることがなぜ出来なかったか。カバンから取り出す瞬間、構える瞬間、1発目の後に、制止出来なかったか・声を出せなかったかと。

 ③について。1発目から2発目までは、2秒弱ある。1発目の後、安倍元首相を抱え込むような人がいなかったのが残念だ。前編に書いたが、鉄板のカバンをかざした警護官風の人はいた。しかし、体でガードする人がいなかったように思う(スーツを広げ、後ろから安倍首相に突進・抱え込むような)。これは、咄嗟だから難しい。命を捨てる覚悟を常に日頃から持っておく必要もあろう。現に、そうしていたら、警護官は負傷等していただろう。しかし、Twitter等で出されているように、アメリカで、過去にレーガン大統領が銃撃された時、手を広げて盾になった警護官がいた。警護官は負傷したが、今でも有名だ。今回、手を広げてガードしたのは見られず、屈んでいた。難しいし、辛いし、とても勇気がいることだが。又、広げてガードしなくても「安倍さん、伏せて」と声を出すのは、最低ほしかった。

 ※尚、ここで特筆しておきたいのは、広げてガードした人はいなかったと見られるが、護身・危機管理の面で、優秀な人はいた。銃撃時の映像を見ると、県警のカメラマンだろうか、聴衆を撮っていた方だ(おそらく、警察官では?)。この人は、ちゃんと1発目で瞬間的に伏せている。体で反応し、驚くよりも早く冷静に伏せ、かつその後にしゃがみながら移動している。移動中に2発目がきているので、十分に素晴らしい体勢だった。もし、安倍元首相はじめ、多くの方が、この人と同様の行動を取っていれば、大事には至らなかったのではないかと思う。これは、私も勉強になったし、見習いたいと思った次第である。しかし、警察官なら自らだけでなく、警護対象者もお願いしたいが。

 ④について。警護官の立ち位置が、警護対象者から遠いということだ。これは、元警視庁OBで、警視庁SPだった金井祐一氏が指摘していた。確かに、1秒以内くらいに警護対象者に触れるような位置にいないといけないかと。

以上、警備の問題点を指摘しておく。

 ただ、付言するが、これは、私の警察・警備・警護全体に対する批判ではない(現在の警視庁長官だけは好きではないが・・・)。あくまで叱咤激励である。むしろ、私は、警察大好き・警察応援隊だ。だからこそ、今回の件は悲しい、悲しすぎるほど、悲しい。今回の件の警備批判は、警察OBからも多数出ている。是非、見てほしいが、元警視庁SP、元SIT隊員、元警視庁刑事、元神奈川県警刑事、元埼玉県警刑事、元大阪府警刑事、元徳島県警刑事、元公安捜査官、民間SPの元警察官、元警視総監等々がコメントを出している。むしろ、批判していないOBがいないのではないか、と思うほどだ。
 是非、ここから検証し、出直してほしい。